“Dusty In Memphis” (1968)
前回、ヴィレッジ・ピープルのことを書いたときに、ペット・ショップ・ボーイズの名前も出ましたが、大学生の時、彼らのアルバム”Actually”をよく聴いている時期がありました。当時は、ソニーのウォークマンでカセットテープを電車の中で聴いていました(後にCDウォークマンも登場しますが)。なにせ、片道2時間半の通学時間だったので、1回生の時は電車の中で宿題をすることもありましたが、音楽を聴く時間はたっぷりありました。”Actually”の中でも、What Have I Done To Deserve This?という曲が特に気に入っていたのですが、この曲でペット・ショップ・ボーイズはダスティ・スプリングフィールドと共演しています。彼らが尊敬している伝説的なイギリスの女性シンガーとして、当時話題になりました。ビデオにも出演しています。私は彼女のことは、この曲のおかげで知ることになったのですが、あの超有名なYou Don’t Have To Say You Love Me (この胸のときめきを)を歌っている人だと知って、びっくりしました。You Don’t Have To~もおそらく3歳ころから知っていたのに、曲名がわからなかったのです。幼い頃、家にソニーのラジカセがあり、それに付いてきたと思われるカセットテープに、「恋はみずいろ」と「この胸のときめきを」のインストが入っていたので、幼い頃からよく聴いていたというわけです。しばらくダスティのことは忘れていたのですが、1994年に映画「パルプ・フィクション」を見て、映画が素晴らしかったのでサントラのCDも買いました。Son of A Preacher Manはこの映画で使われていますが、まずあのイントロのギターからゾクゾクして、ダスティのちょっと抑え気味のボーカルで、もう鳥肌が立ちます。それに絡んでくるホーンといい、何もかもが最高です。ダスティは間違いなく、私の好きな女性ボーカリストのひとりですが、残念ながら1999年に59歳で乳がんで亡くなられています。
私が”Dusty in Memphis”のCDを買ったときは、ダスティのようなソウルフルな声の持ち主が当時のソウル・ミュージックの中心地でレコーディングすることに何の違和感も無かったのですが、実のところ、1968年当時イギリスの女性シンガーが、わざわざアメリカのメンフィスのような南部に出向いてレコーディングするなど、まったく理解されなかったようです。この曲こそヒットしましたが、アルバムの売り上げはさんざんだったとか。アメリカでは、アトランティック・レコードのジェリー・ウェクスラー、トム・ダウド、アリフ・マーディンという凄腕プロデューサー3人に迎えられ、用意された楽曲もアメリカを代表するソングライター陣が書いた曲だったにもかかわらずです。きっと時代を先取りしすぎていたのでしょうか?今では、名盤のひとつに数えられています。
もともとこのSon Of A Preacher Manはアリーサ・フランクリン Aretha Franklinのために用意された曲だったのですが、アリーサが却下したため、ダスティが歌うことになったようです。しかし、アリーサも後にレコーディングしています。彼女のバージョンも、もちろん鳥肌ものです。アリーサはpreacher manの娘ですものね、歌詞にもハレルヤが追加されています。 このブログは1日1曲がポリシーなのですが、やはりダスティといえば、You Don’t Have To Say You Love Meも捨てがたい。こちらも本当に素晴らしいです。エルヴィスのバージョンも有名ですが、元々はイタリアの楽曲です。エルヴィスの声も大好きだし、すごく上手なのだけれど、やっぱりダスティの方がドラマチックな感じがします。ダスティはバックの演奏と彼女の歌の一体感がすごいです。あともうひとつ意外だったのが、ベイ・シティ・ローラーズのI Only Want To Be With Youはダスティがオリジナルだったのですね!知らなかった(ボーっと生きてます)。
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