“Mozambique” (1965)
Sujetate la lengua = Hold on your tongue
この曲もよくサルサ・ダンスのレッスンの時にMarcoが使っていて、また自身のサルサ・バンドのライブでも時々演奏していました。トロンボーンが印象的な曲ですが、シカゴのジミー・パンコウさんのキレッキレのトロンボーンの音に慣れた耳には、最初少しもっさりした印象がありました。日本版パルミエリさんのベスト盤、「猪突猛進 – ベスト・オブ・エディ・パルミエリ」の小山豊さんの解説によると、‘(1960年)当時はバイオリンとフルートを基調にしたチャランガ編成によるパチャンガ・バンドが人気で、トロンボーンはその音の切れの悪さからダンス主体のラテン音楽には不向きと敬遠されていた。しかしエディはその掟を破り”トロンバンガ”というトロンボーンをメインにした編成の楽団を旗揚げしたのだった’とあります。やはり音の切れの悪さは認識しながらも、1961年にユダヤ人のトロンボーン奏者、バリー・ロジャース Barry Rogersと出会ったことが、彼の音楽スタイルを決定づけたのでしょうね。
ビートルズの歴史より長いパルミエリさんの経歴ですが、歴代2人の素晴らしいボーカリスト(スペイン語ではcantanteというのでしょうか)を輩出しています。1人目はLa Parfecta結成時から1973年まで所属したイスマエル・キンターナ Ismael Quintana(その後また共演しています)。この曲も彼がボーカルです。2人目は、第1回目のブログに書いたNada De Tiのボーカル、ラロ・ロドリゲス Lalo Rodríguez。当時16歳だったというから驚きです。”The Sun of Latin Music“と次作”Unfinished Masterpiece”に参加。80年以降はソロで大成功を収めます。私は女性ボーカルでしたら、何人かすごく大好きで尊敬している人がいるのですが、男性ボーカルだと、いい声だなとか歌が上手だなと思う人はいても、女性ボーカリストほどすごいなと思う人はいないのですが、イスマエル・キンターナさんは間違いなく私の中でナンバーワンの男性ボーカリストです。まず声がいい!本当にほれぼれするような”ええ声“です。それと、スペイン語の歌詞はよくわからないのですが、すごく丁寧に歌っているのが伝わってきます。また、ライブでもスタジオ録音と同じクオリティを保っていて、本当に歌が上手なんだと感じます。残念ながら2016年にお亡くなりになられたようで、最近は貴重なイスマエルさんのライブ映像をYouTubeで探しては、画像の悪さにもめげず、彼の歌を堪能しています。
パルミエリさんはこの曲を2003年に再レコーディングしています。テンポが遅くなって、残念ながらオリジナルのスリリングな感じはまったくありません。ボーカルは4月の来日公演の時も一緒だったエルマン・オリヴェラ Herman Oliveraです。Marcoもきっとオリジナルの方が好きだったんだろうなと思います。最近、この曲の歌詞を英訳したものをYouTubeで見つけたのですが、恋愛の歌ではなく普遍的なメッセージソングだと感じました。再レコーディングしたのも、そういう意味を込めてかもしれません。また、このブログを書くまですっかり忘れていましたが、エルマンさんは一度Steven’s SteakhouseというLAの重要なサルサ・スポットにソロでライブをされた時に見に行ったことがあります。しかも、一緒に写真も撮ってもらっていました。背が高かった印象があります。
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