“Stay Hungry” (1984)
最近、ふとトゥイステッド・シスターのことを思い出してビデオを見たのですが、今見ても面白かったです。この2曲のビデオはどちらを先に見たのか思い出せないのですが、おそらくリリース順でいくと、We’re Not Gonna Take Itだと思います。もちろんSONY MUSIC TVで何回も見ました。どちらのビデオも、唾を飛ばしながら、やたら怒っているお父さんと学校の先生(同じ俳優さん)が出てくるのですが、当時は英語がよくわからなかったので、何にこの人は怒っているのかよく理解できませんでした。しかし、とりあえずトゥイステッド・シスターやロックが嫌いなんだろうな、ということは雰囲気で察することはできました。今、彼が何を言っているのか理解できるようになって、改めてビデオを見てみると、未来ある若い子にそんな人格否定していいの?と心配になるほど厳しいですね。What do you wanna do with your life?って頭頂部から湯気が出そうな勢いで聞かれても、私はこの歳になっても答えはわかりません。このやりとりの後に出てくるトゥイステッド・シスターのルックスは、初めて見たときはさすがにびっくりしました。しかし、曲は2曲ともキャッチーで覚えやすく、ビデオはユーモアに溢れているし、好きにならない理由が見当たりません。
アメリカはキリスト教思想が根付いた国のためか、ケーブルTVは別にしても、ふつうの地上放送というのか一般放送ではかなり厳しい規制があり、汚い言葉や暴力的・性的な場面は見かけることがありません。日本の地上デジタルの方が品が無いくらいです。しかし音楽については、かつては規制が無かったため、この2曲が発表された1984年頃に規制しようとする動きが起こりました。その中心人物が、後のオバマ政権で副大統領だったアル・ゴアの奥様、ティッパー・ゴアです(現在は離婚しています)。彼女は同じ考えを持つワシントンDCの奥様達と委員会を立ち上げ、PMRC(Parents Music Resource Center)を設立します。アメリカのCDにParental Advisory Explicit Contentという表示(ステッカー)を時々見かけますが、これは映画のレイティングのようなシステムをPMRCが音楽業界に要求した結果です。内容が未成年にはふさわしくないと認定されたCDにつけられています。この一連のPMRCの動きは、当時弟が買っていたメタル雑誌BURRN!に時々記事が載っていたので、よく覚えています。実際のミュージシャンたちが証人として登場した公聴会なども行われていました。
We’re Not Gonna Take ItはPMRCが発表した最も不愉快な15曲(The Filthy Fifteen)の7位に選ばれているのですが、実はTSのボーカル、ディー・スナイダーさんも公聴会に証人として出席しています。私がアメリカにいた頃のディーさんは、知的な感じでVH1のドキュメンタリーでよくコメンテーターとして登場していました。
PMRCは現在も活動を続け、ステッカーも存在します。なので、そのことについて今さらとやかく言うつもりはありませんが、上記の最も不愉快な15曲に選ばれた曲に中には、ちょっと過激に反応しすぎじゃ?と思う曲が入っていることは否めません。曲のリストはこちらです。
https://www.nndb.com/lists/405/000093126/
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